こんにちは、くっき〜です!
この記事では
- 控除って何?
- たくさんありすぎてよく分からん…
- 税金で損してる可能性があるって本当?
という方(どちらかというと会社員向け)に向けて、分かりやすく解説します!

先に結論言うでっ!
- 控除とは個人の事情に寄り添った税金免除制度のこと!
- 控除対象なら申告しないと圧倒的に損となる!
- 会社に申告すればいいものと国に申告しないといけないものがある!
「控除ってよく聞くけどあまりよく分からない…」「税金?確定申告?もう無理…」と苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか?
しかし控除を知って損することは1つもありません。
控除はみんなの強い味方なのです!

この記事では控除の基本や税金との関係、また対象になりやすい主な控除を分かりやすく要約して解説していますので、ぜひ参考になさって下さい!

超ボリューミー!いってみようっ!
控除があるとなんで得?
控除とは「所得からそれぞれの控除ごとに決められた金額を差し引くこと」を言います。
まずは控除があることで、なぜ税金面でお得になるのか確認していきましょう!

その前にっ!!
所得とは「年収」のことではありません。
会社員の場合なら年収から「給与所得控除」を引いたものが「所得」になります。
給与額 | 給与所得控除額 |
---|---|
~162.5万円 | 55万円 |
162.5~180万円 | 収入金額×40%-10万円 |
180~360万円 | 収入金額×30%+8万円 |
360~660万円 | 収入金額×20%+44万円 |
660~850万円 | 収入金額×10%+110万円 |
850~1,000万円 | 195万円 |
1,000万円~ | 195万円 |
年収が400万円なら「収入金額×20%+44万円」が給与所得控除額になりますので、所得は400万円ー(80万円+44万円)=276万円となります。
では控除額があるとどうお得なのか見ていきましょう!
所得税と住民税
日本には消費税や固定資産税など○○税と名のつく税金がたくさんありますが、控除によって得する税金は「所得税」と「住民税」の2つです。

会社員が毎月給料から天引きされている税金のこと!
この2つの税金は所得額によって、税金をいくら納めるかが決まります。
住民税は一律10%、所得税は収入が多いほど税率が高くなる「累進課税」となっています。
所得額 | 所得税率 | 控除額 | 住民税 |
---|---|---|---|
〜195万円 | 5% | 0円 | 10% |
195万~330万円 | 10% | 9.75万円 | 10% |
330万~695万円 | 20% | 42.75万円 | 10% |
695万~900万円 | 23% | 63.6万円 | 10% |
900万~1,800万円 | 33% | 153.6万円 | 10% |
1,800万~4,000万円 | 40% | 279.6万円 | 10% |
4,000万円~ | 45% | 479.6万円 | 10% |

所得税の計算は所得×所得税率ー控除額や!
上の表を元に簡単な例を見てみましょう。
●所得税
300万円×10%ー9.75万円=20.25万円
●住民税
300万円×10%=30万円
税金合計:50万2,500円

そうやって計算されてたのか…
では控除が100万円分あった場合はどうでしょうか?
●所得税
(300万円ー100万円)×10%ー9.75万円=10.25万円
●住民税
(300万円ー100万円)×10%=20万円
税金合計:30万2,500円

20万円も違うやないかいっ!
このように控除は所得税率・住民税率を掛ける前に差し引くことができるため、納税額が減る仕組みとなっています!
所得控除と税額控除
控除は大きく分けて2種類存在します。
「所得控除」と「税額控除」というものです。

また難しそうな…
先ほどの計算で利用したのは「所得控除」のことです。

何が違うの?

計算する時に差し引くタイミングが違うんや!

所得控除:税率を掛け算する前に引く
税額控除:税率を掛け算した後に引く
所得控除と税額控除が両方ある場合で所得税額を計算してみます。
所得:400万円
所得控除:100万円
税額控除:10万円
所得税率:10%
(400万円ー100万円)×10%ー9.75万円ー10万円=10.25万円 ← これがその年の所得税
所得控除は控除額×税率分が節税に、税額控除は控除額がまるまるが節税になります。

節税になるのは分かったけど、手続きとかどうすれば良いの?
各種控除は全て手続きが必要なわけではありません。
会社員の方なら…
- 会社が全て手続きしてくれる控除
- 会社に申告すれば手続きしてくれる控除
- 自分で申告が必要な控除(確定申告)
会社に申告する場合は「年末調整の時に書類に記入、証明書を提出」、国に申告する場合は「確定申告書に記入(入力)」して申告します。

自営業、フリーランスの方は大変やけど全部自分でやらないといかん!
上記3つの項目ごとに、所得控除と税額控除の内容を要約したものを紹介します。
控除の対象になりそうなものが無いか、参考にしてください!
何もしなくて良い控除
申告しなくても会社が全部やってくれる控除は次の2つです。
- 基礎控除
- 社会保険料控除
基礎控除
基礎控除は所得が2,500万円以下の方が受けられる所得控除です。
合計所得額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円 超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円 超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
社会保険料控除
社会保険料控除は社会保険料として支払った金額の全額分が所得控除の対象になります。
社会保険料とは健康保険、国民年金、厚生年金などのことです。

会社員が給与から天引きされてる保険料のこと!
社会保険についてはコチラの記事でも解説しています!
会社に申告が必要な控除
会社への申告が必要な控除は次のものです。
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
これらは会社に申告は必要なものの、その後の計算や国への申告は会社がやってくれます。


ありがたいね~
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除は老後のために自分で積み立てる掛け金の全額が所得控除の対象になります。
会社員ならiDeCoや企業型DCなどの掛け金がこの控除にあたります。
iDeCoについてはこちらで解説しています!
自営業、フリーランスの方なら年間で最大84万円まで積み立てることも可能です。
生命保険料控除
生命保険料控除は支払った保険料の全額または一部が所得控除の対象になります。
保険料の種類は次の3つに分類され、決められた上限を超えると対象外となります。
生命保険料控除 | 所得税控除上限 | 住民税控除上限 |
---|---|---|
一般生命保険料控除 | 4万円 | 2.8万円 |
介護医療保険控除 | 4万円 | 2.8万円 |
個人年金保険料控除 | 4万円 | 2.8万円 |
合計上限額 | 12万円 | 7万円 |
- 一般保険料控除
- 死亡保険、学資保険など
- 介護保険料控除
- 医療保険、がん保険、介護保険など
- 個人年金保険料控除
- 個人年金保険料税制適格特約が付加された保険
節税は目当ての保険加入はやめましょうね!
地震保険料控除
地震保険料控除は地震保険に加入すると受けられる所得控除です。
地震保険料控除 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
5万円以下 | 全額 | 2分の1 |
5万円以上 | 5万円 | 2.5万円 |
所得税の控除額は上限5万円まで、住民税はその2分の1の額が控除されます。


地震保険は単独では加入できへんで!
火災保険とセットなんや!
ちなみに賃貸住みの方は地震保険は不要なので、無駄な保険に加入していないかチェックしましょう!
障害者控除
障害者控除は自分または家族に障害がある場合に、受けられる所得控除です。
障害の程度により、控除額が異なります。
障碍者控除 | 所得税控除額 | 住民税控除額 |
---|---|---|
障害者 | 27万円 | 26万円 |
特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
同居特別障害者 | 75万円 | 53万円 |
詳しい要件については国税庁のホームページに記載されています。
参考:国税庁 障害者控除
寡婦控除とひとり親控除
寡婦控除は夫と離婚(再婚していない)、死別した妻に扶養親族がいる場合に受けられる所得控除です。
寡婦控除には未婚のシングルマザー、シングルファーザーが対象外で不公平だったため、その方々も対象になるように2020年にひとり親控除ができました。
違い | 寡婦控除 | ひとり親控除 |
---|---|---|
控除額 | 27万円 | 35万円 |
性別 | 女性のみ | 男女不問 |
所得 | 500万円以下 | 500万円以下 |
併用はできないので、どちらの要件も満たす場合はひとり親控除の対象になります。
勤労学生控除
勤労学生控除は働きながら学校に通う学生が受けられる所得控除です。
勤労学生控除 | 所得税控除 | 住民税控除 |
---|---|---|
控除額 | 27万円 | 26万円 |
所得が75万円以下(年収では130万円以下)なら受けられますが、勤労以外の所得が10万円以上になると対象外になります。
勤労以外の所得にあたるのは、不動産や株式投資による利益などです。


学生さんの場合は、会社ではなく税務署への手続きが必要や!
手続きに必要なのは学生証明書とアルバイト先の源泉徴収票です。
これらを先に準備して税務署へ行きましょう!
配偶者控除と配偶者特別控除
配偶者控除は、配偶者の所得が一定以下の時に受けられる所得控除です。
配偶者の所得が48万円以下(年収では103万円以下)で、納税者本人の所得額に応じて控除額が決まります。
納税者の所得 | 一般配偶者控除 | 老人配偶者控除(70歳以上) |
---|---|---|
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超 950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超 1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
配偶者特別控除は配偶者の所得が48万円(年収では103万円)を超えた場合に受けられる所得控除です。
仮に年収が104万円になってしまった場合、「たった1万円超えただけなのに控除が全く受けられない」という方のために段階的に控除が受けられるようになっています。
配偶者所得/納税者所得 | 900万円以下 | 900万円超 950万円以下 | 950万円超 1,000万円以下 |
---|---|---|---|
48万円超 95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超 100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
100万円超 105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
105万円超 110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
110万円超 115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
115万円超 120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
120万円超 125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
125万円超 130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
130万円超 133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
配偶者の所得が95万円以下(年収が150万円以下)なら配偶者控除と同じ38万円の控除を受けることができます。
こんな記事もあるので気になる方はどうぞ!
扶養控除
扶養控除は16歳以上の親族を養っている場合に受けられる控除です。
扶養親族の年齢 | 控除額 |
---|---|
満15歳以下 | 0円 |
16歳以上 18歳以下 | 38万円 |
19歳以上 22歳以下 | 63万円 |
23歳以上 69歳以下 | 38万円 |
70歳以上(別居) | 48万円 |
70歳以上(同居) | 58万円 |


16歳未満の子供がいる場合は扶養控除ではなく、児童手当が支給されるで!
大学生など経済的に苦しい時に控除が大きくなっていますね。
国に申告が必要な控除
国に申告、つまり自ら確定申告が必要な控除は次のものです。


確定申告なんて無理だ…


確定申告はやってみるとそんなに難しくないで!
やらないと数万円、数十万円と損する可能性だってあるんやで!
- 雑損控除
- 医療費控除
- 寄附金控除
- 住宅借入金等特別控除
- 配当控除
- 外国税額控除
これら確定申告しなければ確実に損する控除たちです!
雑損控除
雑損控除は自然災害や害虫、盗難、横領などにより被害を受けた場合に控除を受けることができる制度です。


あまり知られてない控除の1つやな!
現金の盗難も対象やで!
対象になるのは「生活に必要な資産」であること、住宅も対象なので数百万単位の控除額になる場合もあります。
控除額は次の計算で額が大きくなったほうが採用されます。
- (損害金額+災害等関連支出の金額ー保険金等の額)ー(総所得金額等)×10%
- (災害関連支出の金額ー保険金等の額)ー5万円
計算も少しややこしく、対象になるかの判断もあいまいなので対象になりそうなら税務署の方に相談してみましょう!


こういう控除があることを知っておくことが大事!
医療費控除
医療費控除とは自分、家族の医療費の支払いが高額になった場合の控除です。


家族分の合計額で良いんやで!
控除額の計算は所得によって変わります。
所得 | 控除額 |
---|---|
200万円以上 | 10万円の超過分 |
200万円以下 | 所得×5%の超過分 |
所得が100万円で1年間の医療費が50万円なら…
50万円ー5万円(100万円×5%)=45万円の所得控除になります。
詳しくはコチラでも解説しています!
寄附金控除
国や地方公共団体などに寄付をした場合に受けられる控除です。
寄附金控除は少し特殊で所得控除と税額控除を選択できるようになっています。
- 所得控除を選択
- 控除額=寄付金額ー2,000円
- 税額控除を選択
- 控除額=(寄付金額ー2,000)×40%
最近はふるさと納税を利用している方が多いですが、ふるさと納税はこの寄附金控除にあたります。
本来は確定申告が必要な控除ですが「ワンストップ特例制度」により、不要とすることもできます。


ふるさと納税は本当におトク!
コチラの記事でも解説しています!
住宅借入金等特別控除
住宅借入金等特別控除は住宅ローンを利用して、住宅の購入や増改築をした場合に受けられる控除です。
控除を受けるには次の条件があります。
- ローン年数が10年以上
- 引き渡し日から6ヶ月以内に入居
- 住宅の床面積が50㎡以上あり、その2分の1以上が居住用であること
- 所得が3,000万円以下
住宅借入金等特別控除 | 条件 |
---|---|
控除額の上限 | 40万円/年(最大400万円/10年) |
控除額の計算式 | 借入金残高×1% |
住宅借入金等特別控除(通称:住宅ローン控除)は額も大きくなりやすく、税額控除なので効果も絶大です。
初年度のみ確定申告が必要で、翌年からは会社が全てやってくれます。


ただ、2022年の4月から大規模な制度改正が予定されてるんや!
控除の期間が「10年→13年」に(これは減税)、控除率が「1%→0.7%」に変更(これは増税)予定なので、これからの購入を考えている場合はしっかりチェックしましょう!
配当控除
配当控除は国内企業の株式を保有し、配当を得た場合に受けられる控除です。
配当控除は確定申告の際に「分離課税」もしくは「総合課税」を選択できるようになっています。


もう意味不明…
課税所得が900万円以下の方なら、総合課税を選択すると払い過ぎた税金の還付を受けることができます。
詳しくはコチラの記事で解説しています!
外国税額控除
外国税額控除は外国においてのビジネスや投資における「二重課税」を避けるための制度です。


二重課税?
例えば米国株式に投資をして、配当金を受け取ると次のように税金が発生します。
- ①配当金が発生
- ②もらう前にまずは米国に納税(税率10%)
- ③その後日本にも納税(税率20%)
- これが二重課税


税金取りすぎっ!
日本に住むなら日本には納税しないといけませんが、米国に納税した分を取り戻す作業が「外国税額控除」です。
外国税額控除は申告しなければ、ただただ損なので対象になりそうなら確定申告をしましょう!
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は【普段の生活に関係の深い控除】を一気にご紹介させて頂きました。
最後にポイントをまとめると…
- 控除には所得控除と税額控除がある。
- 所得控除は控除額×税率分が節税になる。
- 税額控除は控除額がまるまる節税になる。
- 控除には会社に申告すれば良いものと、自分で確定申告しないといけないものがある。
各種控除のルールを全部理解する必要はありません。
ただし「どんな時に控除になりそうか」を知っておくことは大事です!


対象になりそうならその時に調べればええんや!
税金で損をしないように、少しでも知識をつけてお金を守りましょう!
以上、お役に立てれば幸いです!
最後まで読んで下さり、ありがとうございました!
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